新入社員自己紹介2018


はじめまして、今年度四月に入社しました、くぼっちと申します。

 

普段はネットサーフィンかゲームをしているインドア派です。

趣味、と言っていいのか怪しいところですが暇なときはファンタジー系の想像(妄想?)しています。

 

 

 

<イラスト:あお>

社会人として、また、技術者として、スタートを切った今、10年以内に達成したいことは

・何らかの開発を自力でできるようになること

・ゲームの個人作成を自分の趣味と胸を張って言えるようになること

以上です。

 

まだまだ自分にできることは少ないので、地道に技術を身に着けていきたいと考えています。

よろしくお願いします。

 

短編を書いてみました。 よければ暇な時にどうぞ。

 

村人と精霊

男の手を離れ斧が泉に沈んでいく。
人里離れた森の中、泉のそばに立つ男に焦りの表情はない。
むしろ、満ち足りた顔をしていた。

男はただの村人である。
旅商人から安く斧を買ったまではよかったが、村を訪れたシスターに呪われていると鑑定されてしまった。おまけに、呪いのかけ方が特殊で聖教国まで出向かなければ解呪も難しいという。
村々を回る仕事のあるシスターに斧を渡すわけにもいかなかっため、自分で解呪に向かうこととなったのである。
呪いの品をそこらに投げ捨てるような悪漢でこそなかったが、いつ自身が呪いに蝕まれるかもわからぬ状況で隣国まで向かえるほどの無謀さも持ち合わせてはいなかった。とにかく斧を早く手放したかったがために道すがらに見つけた泉に捨てることに決めたのであった。

呪いの品を静謐な泉に投げ入れるのはためらわれたが、ここにたどり着くまでにも何度か魔物をやり過ごしている状況であり同じような機会がこの先にあるとも限らない、いくら迷おうとも取れる手段はひとつしかなかったのであった。
目的を果たしたとはいいがたいが、魔物が街道にも現れるようになった状況下で村からそこそこ離れて呪いの品を処分するというのは男にとってまさしく大冒険であった。
あとは、村まで無事に帰るだけだと気合を入れなおした直後、泉が光り始めたかと思うと中心に女が現れたのだ。驚きのあまり声もあげられないでいると女が口を開いた。

「はじめまして、わたしはこの地の精霊です。この斧から、とてもまっすぐな気持ちが伝わってきました。大事なものでしょう、お返ししますどうぞ。」

なるほど、精霊がいてもおかしくはない場所である。だが、男は精霊の言葉に疑念を抱いた。
斧に呪いがかけられていると鑑定したシスターは、教会のない村のために張られた魔物の侵入を防ぐ結界を維持する、魔に対する専門家であり、その鑑定に誤りがあるとは考えづらい。
その斧にまっすぐな気持ちがこめられているなどととは実におかしな話であり、目の前の女がセイレイという名の何か別のものなのではないか、と考えたのである。
だが、もしも本物の精霊であったのならば、変わった精霊であることには変わりないが、精霊でないと断ずるのは失礼であるし、なにより呪いをまっすぐな気持ちと呼ぶような厄介な存在であれば機嫌を損ねるのは大変よろしくない。

「精霊様、その斧は捧げものであり、すでに私の手を離れたものです。どうかお納めください。」

まったく必要としないものが持つよりは必要とするものが持ったほうがよい。余計なことは話さず、早いところ切り抜けようとしたのだが、そううまくもいかない。

「ここ数十年あなたのような方は見かけなかったのですが別の場所とお間違えではありませんか。」

魔物が頻繁に現れるようになる以前から人の寄り付かない場所であったらしい。
これではここにはじめから訪れようとしていたと言うわけにもいかない。やはりなれない嘘などつくものではないと思い直し、正直に話すことにした。

「実は隣国へ向かう途中であったのですが、偶然この泉を見つけまして、失礼であるとは思ったのですがこうするしかなかったのです。許してはいただけないでしょうか。」

これで斧をつき返されるのならば仕方がないが、もしそのまま持っていってくれるのであれば、これ以上のことはない。半ば精霊の返答に期待したものの返ってきた言葉は予想外のものであった。

「あなたのような方がまだいらっしゃるとは思いませんでした。一人での旅も大変でしょう、私も同行します。」

斧を返すといわれるならまだしも、勝手に同行を宣言されてしまった。この厄介な存在が、精霊ではなく邪神の類であるという結論に男がたどり着くのも無理のない話である。どうにかして、機嫌を損ねずにここに留めなくては村に帰ることもできない。

「いえ、私一人でも問題ありません。セイレイ様はこちらでお休みください。」

これで思いとどまるような相手であればよかったのだが、自分からついていくと言い出す相手にそんな期待が通じるはずもなかった。

「様はどうにもむずかゆいですね。あまりかしこまらず、好きに呼んでもらってかまいませんよ。それと、私、ものに宿るのは得意なんです。」

そう言うや否や、セイレイの姿が消えたかと思うと、斧がやや煌めきながら、ひとりでに飛び上がり男の手の中にすっぽりと納まった。

「これで旅の邪魔にはなりませんね。さあ行きましょう。」

セイレイがついてくることを防ぐどころか斧まで手元に戻ってきてしまった。斧の状態でも自在に動けるとあっては、捨てることも難しそうである。
斧の呪いを解きたいところではあるが、邪神がいては聖教国に入ることも難しい。面倒なことに別の解呪の方法を探さなければならなくなったと心の中で嘆きつつ男とセイレイの旅が始まったのであった。

 


 

精霊と村人

森を歩く耳慣れない音で覚醒した。
魔素から逃れてきた小精霊たちのいたずらでなければ、魔物の傍若無人なものでもない。
人の形をした精霊は慎重に森への侵入者が何者かを見極めていた。

自然に宿る精霊に形も何もないのだが、精霊仲間から精霊語りと話をするときは人をかたどったほうが話が進みやすいと勧められてからは人の形を取ることにしていた。
精霊語りと呼ばれるものを通して精霊は人間と対等な関係を築いていた。最後に精霊語りと会話をしたのは100年ほど前であったが、真摯な態度のものが多かったことは記憶している。
それから精霊語りとの接触はなかったが2、30年ほどたったころに精霊使いなるものが現れたと耳にした。実際に精霊使いに遭遇したことはなかったが小精霊を言葉巧みにだましてその力を行使しようとする詐欺師のような人間であるらしい。幸いにも精霊使いが現れることはなかったがよい印象はなかった。

そして、どうにも侵入者は人間の男であるらしい。
ここしばらく、じわじわと増加する魔素と魔物に自分の領域を脅かされていた精霊は、相手が魔物ではなかったことに安堵しつつも、人であることに微妙な表情を浮かべた。
やや近くを通行することはあっても人がこの森に踏み入ることなど数十年なかったことである。
あれがただのきこりや、植物の採取に来ただけであるならば、さほど問題ではないが、もし精霊使いを名乗る輩であれば小精霊たちが連れて行かれる前に対処しなければならない。
せっかく守った小精霊たちを危険な目にあわせるわけには行かないと、精霊は人間の前にいつ姿を現そうかと思案していた。

だが、男は斧を持っており、また、精霊と会話しようとするそぶりも見られない。この際、木の1本であれば安いものかと考えていると、男が泉に斧を落としてしまった。
わざわざ拾う義理もないのだが、斧からは男の何らかの決意が伝わってきた。数十年ぶりの人間に興味を持った精霊は斧を返すべく姿をあらわすことにした。

「はじめまして、わたしはこの地の精霊です。この斧から、とてもまっすぐな気持ちが伝わってきました。大事なものでしょう、お返ししますどうぞ。」

なぜこの泉を訪れたのかは定かではないが、純粋な意思を持った人間には少なくとも悪いものはいないという今までの経験からの確信があった。
男はとても驚いた表情を浮かべながらも、斧を受け取ろうとしない。

「精霊様、その斧は捧げものであり、すでに私の手を離れたものです。どうかお納めください。」

これには精霊も驚いた。精霊語りたちが自分を呼ぶ際に硬貨や宝石を投げ入れていたことを思い出したのである。挨拶なのだろうと考えていたが、休息に入っている間にも投げ込まれていることがあった。気がついたときにはすでに姿を消している場合もあったため、呼べば出て行くのにずいぶんとせっかちだなと思っていたものだが、よくよく考えれば人間はそれらで物々交換をしていた覚えがある。彼らにとって価値のあるものを捧げることによって精霊と会話ができるとされていたのであれば投げ入れられていたのにも納得がいく。
このことに気づき、目の前の男が精霊語りなのではないかという期待を抱いた。
とはいえ精霊語りが現れなくなってから過ぎた時間は人にとってはずいぶんと長い時間であることも知っていたため、確認をとることにした。

「ここ数十年あなたのような方は見かけなかったのですが別の場所とお間違えではありませんか。」

精霊語り以外にも同じように捧げものをしていた人間がいるかもしれない。だが、少なくとも会話を交わした人間は精霊語りだけであった。別の精霊や神と間違えているのであればここで人の数少ない時間を無駄にするべきではない。精霊は逡巡する男の返答を待った。

「実は隣国へ向かう途中であったのですが、偶然この泉を見つけまして、失礼であるとは思ったのですがこうするしかなかったのです。許してはいただけないでしょうか。」

精霊は感動していた。
男が精霊の泉であるとわかって持ちものの中でもっとも大事にしていたであろう斧を、硬貨や宝石には劣るということに葛藤しながらも、投げ入れ、語りかけることもなく、ただ言葉を待つ、その行動は彼が精霊語りとしての精神を汲んでいることの証左である。100年の間にも人間の中に精霊語りの存在は残っていたのだ。

「あなたのような方がまだいらっしゃるとは思いませんでした。一人での旅も大変でしょう、私も同行します。」

精霊語りたちが健在であった頃はあらぶる他の精霊たちをともに鎮めに向かったり、荒廃した土地を立て直しに向かったりと、東西奔走したものであった。
若い精霊語りとともにまた世界を巡れば、侵食とまらぬ魔素や魔物を解決できるやも知れぬと、これから先の旅路に思いをはせていると、精霊語りは謙虚にも誘いを断ろうとする。

「いえ、私一人でも問題ありません。精霊様はこちらでお休みください。」

彼は偶然にも自分と出会えたが、人が来たことに気がつかない場合もあれば、気難しい精霊もいるのである。ついていったほうが彼の旅に有益なことは間違いないと、断りの言葉は聞き流された。

「様はどうにもむずかゆいですね。あまりかしこまらず、好きに呼んでもらってかまいませんよ。それと、私、ものに宿るのは得意なんです。」

精霊語りが一般的ではない中で、精霊を連れ歩くにはやや面倒なこともあるだろうと気を利かせて精霊は彼が捧げた斧に自身を宿らせる。

「これで旅の邪魔にはなりませんね。さあ行きましょう。」

斧を返しつつ、自分が旅に同行でき、さらに役に立てる、おまけにここ最近の異変の解決にもつなげられるという一石四鳥の発想に気分をよくしつつ、精霊と精霊語りの旅が始まったのであった。


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